ASAhIパソコン 1997年8月15日号より転載

しゃべらないウィンドウズ95はダメ?

マイクロソフトの成毛社長に視覚障害者が提言


ウィンドウズの現状と課題について、マイクロソフトの成毛社長と対談した細田さん(右)。

「日本語のウィンドウズ95は使う気になれませんね」「いや、ごく最近になって技術的遅れに気づきました」「マイクロソフトは全盲なんじゃありませんか(笑)」――。

マイクロソフトの成毛真社長と視覚障害者との間でこんなやりとりが行われたのは、7月8日に東京大学の山上会館で開かれた「Challenged Japan Forum」での席上。この催しの目玉である特別対談「ChallengedとWindows」での会話だ。

このフォーラムは、大阪市のボランティア団体プロップ・ステーションと東京大学社会情報研究所などが主催したもの。

成毛社長に突っ込んだのはプロップ・ステーションの会員で淑徳大学4年の細田和也さん。全盲の視覚障害者である細田さんは、音声認識ソフトを日本語版ウィンドウズ95に入れても、ほとんどのアプリケーションが英語版と同様には「しゃべらない」点を指摘した。あわせて、健常者を前提としたGUI環境が全盛である現在、視覚障害者が習得したDOSの知識が、就職などに生かしにくい状況であることを訴えた。細田さんは今春から、マイクロソフトのOS開発に関するコンサルタントを務めており、成毛社長は「実際に使っている障害者の方々の声を聞くと、予想以上の不具合を実感した」という。

この対談に同席した、マイクロソフトのOS担当者である間中信一氏によると、現行のウィンドウズ95は、英語版と全く同じ動作環境にはない、とのこと。細田さんらの意見を参考にして「今後のOS開発に役立てたい」と話した。

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