公明新聞 1996年7月14日より転載

"支えられる側"の障害者を "支える側"にしたい

コンピューターを武器に重度の障害者の雇用を創出・促進する

竹中 ナミさん

「インターネットのおかげで、重度の障害者の方々が健常者と同じスタートラインに立って働けるようになる」。障害者の在宅勤務を可能にするパソコン・ネットワークの広がりを歓迎する。

障害者にパソコン技能を習得させる講座を開く一方で、受講者の就労先を探す「プロップ・ステーション」を創設して5年。これまでに受講者は100人を超え、仕事を発注する企業も増えてきた。

活動の発端は、重度心身障害者へのアンケート調査。8割が「働きたい」と答え、大半が「コンピューターが武器になる」と回答した。「能力も、意欲ある人が多い。あとは障害者が働けるシステムをつくればいい」と、パソコンの持つ可能性にかけた。

ところが、その矢先。バブル崩壊でパソコン業界が打撃を受け、構想はとん挫しかけた。しかし、「不景気は永遠には続かない。いつか景気はよくなる。その時に備え、今はしっかり勉強しておくことが大事」と奮起。ボランティアのパソコン講師を募集し、活動を立ち上げた。

目標は、「チャレンジドが納税者になれる社会」。チャレンジドとは、米国の障害者の呼称で「挑戦すべきことを神から与えられた人々」という意味。「収入を得て、税金を納め、"支えられる側"から"支える側"に回れる障害者を増やしたい」という。

障害者支援の活動を始めて23年。重度心身障害児だった長女も23歳に。「自分でやる。1人でできなければ2人、3人でやる」。1人で始めた小さな運動が今、ダイナミックな展開を始めた。

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