朝日新聞 1996年6月14日より転載

障害者には不便な街

OBP 「情報化」の最先端だが・・・

9月の「ボランティア・フェス」会場

障害者の働く場を開発している市民団体「プロップ・ステーション」(北区、竹中ナミ代表)が9月に開かれる「第5回全国ボランティア・フェスティバル大阪」の会場になる大阪ビジネスパーク(OBP、中央区)一帯の道路やビル内の交通アクセス調査を進めている。結果をまとめ、インターネットにホームページをつくり、全国各地からの参加者が通信ネットワークで利用できるようにしたい、という。

市民団体が調査

調査に参加しているのはプロップのスタッフやボランティア約10人。JR京橋駅と大阪城公園駅から、OBPへ続く道路や通路、ビルの周辺や建物内を実際に歩き、障害のある人たちの立場で調べた。

「休止」のエレベーターも

OBPには、1988年ごろから大企業のオフィスなどが次々入居し、光ファイバーケーブルなどを設置、「情報化」の最先端をいくビル群。だが、高層ビルの周りをぐるりと階段が囲み、車いす用のスロープも人の流れと反対側の不便な所にあったり、歩道橋に設置されたエレベーターの一部が「休止」になっていたり・・・。

このほか、ビルの入り口は車いすでは入りにくい回転ドアが多く、障害者用トイレもわかりにくい所にあるなど、「福祉のまち」としては欠点だらけであることがわかった。

ボランティアからは「何となく歩きにくい街という感じがしていたが、原因がはっきりした」「ビルや街の設計段階で、障害者が働いたり遊んだりする場、という視点がなかったのでは。福祉対応の設備も何か付け足し的ですね」という声もでた。

立ち会った企業関係者も「そろそろ街の手直しを考える必要があるのではないかと思う」と、感想をもらしていた。

「ボラ・フェス」は9月21、22の両日、全国から自然環境、国際交流、災害救援、リサイクル、福祉といった分野で活動している5万人以上のボランティアや市民グループが集まる。大阪城ホールやOBPのオフィスビルで歌手の森進一さんのコンサートや約40の分科会・講座が開かれる。地理に不案内な上、車いすの人、目や耳の不自由な人も数多く参加する予定だ。

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