産経新聞 1995年10月6日より転載

障害者の在宅勤務を支援

インターネットに仕事発注のHP

通勤が困難な重度の障害者の住宅勤務をパソコン通信などオンラインで支援しようと民間ボランティア団体の「プロップ・ステーション」(大阪市、竹中ナミ代表)は、新たな試みとしてインターネットの活用を積極的に進めている。障害者の仕事の発注を呼びかける情報窓口のホームページをこのほどネット上に設けたほか、障害者の仕事になりやすいホームページ作成の実技講習会を開く。

「プロップ・ステーション」は、パソコンを障害者の就労に役立てるのを狙いに、四年前に発足した。パソコン通信ネットの活用については、ネットを通して在宅勤務者に仕事を配分する実務部門の「プロップ・ウイング」を昨年五月からスタート。これまで試験的なケースとして工業高校の教務管理データーベースの設計の仕事などを手がけている。

さらに、今年6月には、団体独自のパソコン通信ネット「プロップ・ネット」をインターネットに接続。9月中旬にホームページを開設し、機関紙の内容の紹介のほか、障害者のオンラインを使った仕事の募集もしている。

今回の講習会で指導するホームページの作成は、地味な私語とながらメンテナンスや更新などが必要なため、障害者が継続的に仕事が確保できるメリットがあるという。

講習会は、16日午後6時半から、大阪市北区東天満のYFC会館4階で開催。参加費は一般千円。初回の開催の後、年内にさらに5,6回の集中講座を開いて、ホームページを作成できる障害者を養成する。来年度初めからは、今回受講して障害者と、すでにプロップ・ステーションのコンピュータセミナーを通じて複数のソフトウェアの操作をマスターしている障害者らと合わせて10人程度が、ホームページの作成や企業の会社案内の電子化などの仕事をオンラインで受注し、本格的に就労活動を展開する計画だ。

仕事の指示などはインターネット経由で電子メールで行う。ただ、インターネットはセキュリティーに問題があるため、長期にわたり企業の重要情報を扱う場合は、企業と「プロップ・ウィング」との間に専用回線を設ける予定だ。今後、電子編集システム(DTP)なども手がけ、順次仕事を増やしていく方針。

竹中代表は「コンピューターを使った仕事を手掛けることで、障害者に自分たちが社会に支えられる側でなく、社会を支える側になれることを自覚してもらいたい」と話していた。「プロップ・ステーション」の連絡先は、06−881−0041。

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