朝日新聞 1993年11月13日より転載

視覚障害者に愛のマップを

音声フロッピーつくり交通案内

ボランティア募集 19日、西区で説明会

全盲の若者たちが、JR大阪駅など交通拠点の「視覚障害者用アクセスマップ」作りを計画、協力するボランティアを募集している。マップと言っても紙ではなく、パソコン入力でフロッピー化し、音声装置を使って耳で聞くもの。若者たちは「視覚障害者がコンピューターに慣れ、仕事や社会参加の機会を増やすきっかけにもしたい」と張り切っている。


市民団体「プロップ・ステーション」
視覚障害者向けのアクセスマップづくりを計画している亀山英明さん(右)ら =北区大阪ボランティア協会で

拠点駅や地下街調べて入力します


点字の料金表から3台目の切符自動販売機には、点字の表記がなかった


ホームへの階段の手すりに付いた点字表記 =上の写真とともにJR大阪駅で

マップを作るのは、障害者の雇用開発を目指す市民団体「プロップ・ステーション」(竹中ナミ代表)のメンバーで、プログラマーの亀山英昭さん(28)、品川博之さん(23)ら。

5月に、視覚障害者の就労や社会参加に有効なコンピューターを普及させる目的で、「視覚障害部」を発足させた。だが、勉強会を開こうにも、会場に一人で歩いて来られる人が少ないのに気付いた。通い慣れた場所ならホームや改札口の位置や通路などが頭に入っているが、初めての場所は、迷うことが多い。

車いす用のガイドマップは各地で作られているが、視覚障害者用は、古いものしかなく、点字のものは情報量も限られていた。亀山さんらは「点字本だと、紙の量が膨大。フロッピーなら簡単にコピーができるし、音声装置や点字プリンターでの出力も可能だ。データベースを作り検索できるシステムにすれば、必要な情報だけ取り出せ、便利だ」と考えた。

先月、大阪駅で予備調査をしてみた。ホームの階段の手すりに「一番ホーム」とか「昇り口」と書いた点字表記があるのに初めて気づいた。だが、点字料金表に近い券売機の料金ボタンには点字表記がなかった。

「行き先なども書いてあれば、便利なのに」と、改善すべき点も発見した。

計画では、年内にJR大阪駅、5月までに梅田周辺の私鉄や地下街を調べる。募集するのは、マップ作製に助言してくれる視覚障害者、調査作業に協力してくれる人、データベースをつくる技術者など。19日午後7時から、西区江戸堀1丁目のJBS日本福祉放送で開かれる説明会への参加を呼び掛けている。連絡先は、亀山さん(078-411-7178)。

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