神戸新聞 1993年1月10日より転載

パソコンで自立の道

障害者に教室開講

兵庫、大阪の市民団体 雇用拡大へ本格授業

兵庫や大阪の身体障害者らが職業自立を目指してつくる市民団体プロップステーション設立準備委員会(大阪市北区)は、平成5年4月から第2期のパソコンセミナーを開講する。在宅勤務の普及を含め、障害者の就労機会を増やすにはパソコンが有効な手段になる、と平成4年9月にスタートした同セミナーは企業社会が直面する障害者雇用問題に新しい道を開こうとする試みだ。

セミナーの会場は大阪市北区に2ヵ所。30人いるインストラクターは兵庫、大阪などから集まったボランティアで、コンピューターメーカーのシステムエンジニアや工業高校の教師、建築士などさまざまな方面で活躍するパソコンの「プロ」たち。受講者は肢体障害者が9人と聴覚障害者が1人。うち在宅受講者も1人いる。
マンツーマン指導を基本にローテーションを組んでいるが、「毎週顔を出す人もいて受講者1人を2〜3人で教えることもある」と同会の竹中ナミ代表は笑う。

ビジネスソフトを使ったワープロ、表計算など初歩的な段階をひと通りこなし、現在は専門ソフトを使って印刷関連の技術を学んでいる。「仕事でパソコンを使っている人たちが教えるのでより実用的な知識が身に着く。カリキュラムも実務レベルのものを意図した」と同会の榊原淳さん(32)。

受講者の石田圭介さん(33)は「専門ソフトを使いこなせるようになって、グラフィック関係の仕事に就きたい」と意欲的。インストラクターの山蔭拓さん(44)はコピーライター。「仕事で同機種を使うことになり、自分も勉強するつもりで参加した」という。内容は本格的だが、「教える」「教えられる」関係というより、パソコン好きの仲間といった雰囲気が強い。

第2期からは受講者を一般公募し、目的に応じた専門コースもつくる予定。「不況ムードで企業は障害者の雇用に及び腰だが、パソコンの技術があればいずれ多方面で職を見つけられる」と榊原さん。パソコンを使って同会の機関誌編集に携わる青年が、グラフィックデザインの会社に在宅勤務で就職した実績もあり、関係者は期待を膨らませている。問い合わせは同会06−881−0041。

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