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【資料】

国防総省における障害者の就労自立支援の取組み


<財政制度等審議会発表「海外調査報告書」より抜粋>

【国防総省における障害者の就労自立支援の取組み】

米国の国防総省では、CAP(※1)と呼ばれる障害者の就労自立支援の取組みが1990 年から開始され、障害者自らの選択により納税者にもなりうるような働き方を実現できるような環境整備が進められている。

日本では、障害者に対して「保護と救済」の福祉観が根強いが、米国では、障害をもつ者に対し、雇用等についての「均等な権利」を保障する観点から、1990 年に制定された「アメリカ障害者法(※2)」により障害を基礎とする差別を禁止し、就労自立を促進して納税者に変えようとする取組みが進められている。

CAPは障害を持つ国防総省職員のために電子機器等のアコモデーション(順応)を提供する目的で1990 年に創設された。それまでは、障害者を採用する場合に必要となるアコモデーション費用の負担能力やアコモデーションに関する専門的知識を雇用者が有していないなどの理由から障害者の割合は低かった。CAP創設により、雇用に係る費用をCAPが負担し、障害者に対して情報環境への平等なアクセスと機会の提供を保障することにより、健常者と同等の条件での採用が可能になった。CAP創設後、国防総省内の障害者の割合は増加し、2000 年には他の連邦政府機関の職員にも対象が拡大され、現在、65の機関と提携している。

CAPは、障害者に対して電子機器等を使用するための訓練を行い、障害者の障害の程度を評価し、各人に適したアコモデーションの推奨・提供を行っている。アコモデーション提供者は06 年度で6,000 人を超え、90 年度からの累計で52,672 人となっている。また、戦傷者に対するアコモデーションの提供は、06 年度で約200 人、今年度は調査時点(平成19 年3 月下旬)までで800 人を超える。

全体の50%は雇用者に費用が発生せず、42%が500 ドル以下となっており、2005 年度の一人当たり費用平均は470 ドル未満で、アコモデーションに係る雇用者側の金銭的負担は低く抑えられている。CAPの年間予算は約500 万ドルであり、この中には他の連邦政府機関で提供されるアコモデーション費用も含まれている。

担当者の話では、例えば、アコモデーションの提供により、失明しても士官学校の教官として現役勤務している士官もおり、退役したら支払われる補償支出の抑制が図られているという側面も見受けられた。

いずれにしても、人が働くことは誇りを持って生きることに直結しており、チャレンジド(障害のある人)であっても、働き続ける機会を保障することによって、誇りをもってタックス・ペイヤーになれるという有意な事例であった。


※1 Computer/Electronic Accommodations Program の略称

※2 「アメリカ障害者法(Americans with Disabilities Act)」:1990 年7 月に制定された法律で、障害者が社会的・経済的に健常者と同等に社会参加し、機会均等を実現するため、連邦政府、州政府が障害者を差別することを禁止し、障害者が健常者と同等に、雇用、公共交通、サービス及び通信の分野においてアクセス可能な環境整備を義務づけている。



【CAPが提供する電子機器の例】

低視力の職員用のパソコン。必要な
場所の表示を拡大することができる。
[写真]

手が不自由な職員用のパソコン。
声でパソコンに動作指示を行える。
また、キーボードも使用し易い
ように改良されている。
[写真]
























(平成19年6月、財務省財政制度等審議会発表「海外調査報告書 第3部 主要国における中期の歳出管理 I 米国」より引用)

財政制度等審議会発表「海外調査報告書」のオリジナル・ページはこちらです。※PDFファイル(575kb)が開きます。その最後の部分に「国防総省における障害者の就労自立支援の取組み」が掲載されています。

審議会海外調査報告書のホームページはこちらから。


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