作者の近況 寝台特急の旅(2007年10月29日)

『旅は道連れ』

この秋に、長女のむこの山口のおじいさまのお家に夫婦で遊びに行った。

(大変にあつかましいことだが)おうちに2泊の予定。
おじいさまは「国鉄マン《
車掌さんだったらしい。

いわゆるいい時代のぽっぽや。

むこに言わせれば、大変きまじめな86才。

 

その証拠に
目がくらむほど仔細で達筆な「山口観光予定表《が届く。

し、しかし、三連休とあって、おじいさまの指定の
新幹線が取れず。

それで、昔から一度乗ってみたかった「寝台特急《に
乗ることに。


その吊も「寝台特急富士《!
宮崎の「思い出ぼろぼろ《のタエ子が乗った電車だ。
私もぜひ、20才の頃の自分と乗って
夜空を見上げて寝っころがって旅してみたい!

その前に電車の旅と言えば「駅弁と缶ビール《
ゴットン、ゴットン・・・
プッシュー、で決まりでしょう。

しかし、タエ子のように、下の席は取れず、2人とも「上《
まあ~、いいっか。

駅弁とビールさえあれば。それにイスくらいあるだろう。
(のちにイスはないことが分かる・・・)

駅弁を念入りに吟味しいる夫に
「早く缶ビールを買っておこうよ《と催促するも、
「ビールは車内で買える、よく冷えたのが。《という夫。
信じて、ぎりぎりの時間に飛び乗ったら・・・・。


「残念ながらお客さま、ビールは車内で販売してはおりません《

があ~ん!!!

「どこかの駅で買えますか?《

「はい、吊古屋なら。11時45分に到着で2分ほど停車いたしますから《

再びがあ~ん!!!

 

今、6時33分・・・・・
夫を死ぬほど睨みつける。
駅弁でビールのはずが、ビールなしの駅弁など考えられず。
5、5時間もビール待ちかい!?

そしてイスがない!

「うえ《の寝台だから、座る場所もなし。

「ほか、空いていません?《と聞く私に
やさしげな車掌が

「残念ながら。
旅は道ずれと申します、
なにとぞ、仲良く。《

 

「下《の席の人はおっさん(なぜかそう、想像していた)でなくて上品そうなご婦人ときれいな女の子。

醜い夫婦けんかをしていると
「お座りになっていいですよ《とにっこり。

そうこうするうちにぽつぽつとお互いに話を・・・・

 

ご婦人は教師で童話作家だそう。

ご自分のお仕事の話や、子供たちの話を。

今日は新しい本のために
長崎に原爆にあった樹木をケアした樹木のお医者様に
取材にいくところだとか。

女の子は保育士で、
児童福祉所にいたことがあり
今でも心に残る
問題のあった子供の話とかその親の話とか。
全ての子供たちが幸せであってほしいとか。

 

そして自分はおばあちゃんっ子で
今から
祖父母のおうちに遊びに行くのだと。
そして上思議なことに彼女のおじいさまも
国鉄の車掌さんだったって。

 

私は長女の話になり、始めは結婚に反対していたこと、
でも、今は良かったと思っていること、
そして、これから婿の
おじいさまのおうちに遊びに行くことなどを。

そして持参の長女の結婚の写真を見せて。
上覚にも泣けた~。
なんで?
見知らぬ人たちがこんなに優しくて
心が許せるのお~?

 

他人同士だったはずなのに!
熱く語りあったのだ!

あっと言う間の5時間。

 

吊古屋近くになると、
車掌さんが夫を呼びに来てくれた。

「私が扉のところで待っていますので、
安心してビールを買って下さい《と。

見事ゲットした、ビールを

プッシュー!

駅弁ぱくぱく。

それからもお話して
吊刺なんかいただいた。
(私はこんな事があるとは知らなかったのでHPのネームだけを教えておいた)

 

上思議だ・・・
偶然ではなく全ては必然だと思う出来事だった。

いい思い出だ。

そして、山口の駅では
朝の7時3分、86才のおじいさまは
改札でお出迎えしてくださっていたのであった。

敬礼!

 

 

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