の1

街の若者たちがたむろする、
通称「引っかけ橋」の
前の老朽化したファッションビルの
最上階にマーマレードの
通うジムはあった。

そのビル同様、オンボロな
そのジムには、プールもなければ、
浴槽もなく、
スポーツのあとに憩う
ロビーもない。
まして、マーマレードが
大好きなマッサージ椅子もなし。
そして、本当にせまい。

だけど、そこに通うみんなは
そのジムが大好きだった。
なんとなれば、
熱心なインストラクターが
いっぱいいるから。
マーマレードの気功の
先生もおりますよ。

・・

それにみんなは根っからの
スポーツおたく。
ある会員はアキレス腱をきり、
ある会員は肉離れの常習者、

またある会員は、朝、
点滴を打った病院を抜けだし、
夕方のプログラムには参加する・・
と行った具合。
またある患者(いや、会員です、
失礼!でも、同じことか・・。)
はこう言った。
「お母さん、今日こそは
絶対ジムには行かないよ、と
子供に言ったのに
やっぱり来てしまった!
はっはっは!」

。。

さらにある会員はジムに行くことを
禁止する医者にこういったと伝え聞く。

「それなら先生、スポーツを止めれば、
私の体が治るとでも言うのですか?」
それに答えて先生曰く
「治る、とはいいませんが、
これ以上続けると死にますよ!」

またかくゆう、マーマレードも
腰巻きベルトをつけている。

「ぎっくり腰になりそうなんだよ!」
それでも、ジム通いは止められない!

・・

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