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作成日 1997年7月6日

連 載

世界に広がるインターネット広がる世界

第2回・自分も情報発信者になろう
中部学院大学 人間福祉学部
井村 保
E-mail : imura@chubu-gu.ac.jp

 前回はインターネットのすすめとしてネットサーフィンを中心にインターネットの魅力を紹介しましたが、あの記事をきっかけにインターネットを導入された方はおいでましたか。今回は起承転結の「承」として、情報を探すだけの利用を卒業された皆さんに、「自分も情報発信者になろう」をテーマに書きたいと思います。

●なぜホームページを作るの? どんなページを作るの?

 このように尋ねられると答えに困るのですが、1つの答えとして「自己アピール」のようなものがあるのではないでしょうか。私は「こんなことをしています」とか「こんなことを考えています」あるいは「お願いごと」などといった人に聞いて欲しいことや見て欲しいものがあるけど、これまでは発表の場所をもてなかった個人でも簡単に発表できる場所、それがホームページだと思います。例えば、画家や詩人にとってはどうでしょうか。有名なプロの方では発表の場所に困ることはないでしょうが、まだまだ駆け出しの新人や趣味で書いているアマチュアの方にとって、誰もが気軽に立ち寄れる発表の場所として、こんなに身近なものはないと思います。
 では、どんなテーマでページを作るかということが1番悩むところではないでしょうか?もちろん、決まったテーマはありませんので自分の仕事、趣味や興味を持っていること、自らの体験談など何でも好きなことを書けばいいのです。但し、法的あるいは倫理的によくないページを作るのはやめておきましょう。

●また見たくなるホームページ

 ホームページを人に見てもらうためには、テーマや内容もさることながら見た目のデザイン的な工夫も大切です。1度見てくれた人が、また見たいと思うような構成にすることが必要でしょう。でも、見た目を気にしすぎるあまり、写真や絵などの画像を多く入れすぎると読み込みに時間がかかり、見に来た人が待ちきれずに中断して、ほかのホームページに行ってしまう場合もあります。それだけでなく、旧式のパソコンのように画像表示性能が悪い場合、あるいは音声読み上げ装置や点字ディスプレイを併用するためなどにより文字だけを読み込むブラウザ(例えば、Lynx:『Japanized Lynx Home Page』に詳しくまとめられています)を使っている場合には、正しい内容が伝わらない場合もあります。Lynxでは、どのように表示されるのかといったことは、『Lynx-View 日本語版』(*1)でも、確認できます。
 しかし、手話教室や『聴覚障害児のための言語習得支援システム』(*2)のように動画を積極的に使うことでより分かりやすくなる場合もあります。ですから、必ずしも画像データが少ない方が良いわけでないので、ほどよく使うこと、画像がある場合にはちょっとコメントをつけておくといった配慮があると喜ばれるでしょう。このような注意事項は、『すべての人にアクセス可能なHTML文書』(*3)にもまとめられていますし、前回紹介した『こころWeb』では実施されています。
 このほか、簡単な自己紹介のページもあればよいと思います。皆さんも「このページを作った人ってどんな人だろう」って思ったことがあるのでないでしょうか。それに前回の最後で書いたようにその作者にメールを出すときには、相手がどんな人か少しでも分かった方が出しやすいですよね。

●ページづくりに必要なもの

 華やかに見えるページも、その正体はHTML言語というページレイアウトのためのタグ(命令みたいなもの)が付けられたテキストファイルで、これはHTMLファイルと呼ばれています。「ここに画像を読み込め」「フォントを変える」「箇条書きにする」といったことを指示するとき、ワープロなどでは場所や範囲を選択しコマンドを実行しますが、このHTMLファイルではその指示を文章の中に書き込みます。そうすると、ブラウザがファイルを読み込んだときにその内容を判断し、綺麗に整形して表示してくれます。
 では、このHTMLファイルはどうやって書けばよいのでしょうか? もちろん、テキストファイルなのでのエディタやワープロでも書くことができます。しかし、たくさん種類のある「タグ」を覚えることも必要ですので、慣れるまでは大変だと思います。そういう場合には、普通のワープロのように手軽に書くためのソフトである「HTMLエディタ」がお勧めです。これには、フリーソフトから市販ソフトまでいろいろな種類があり、どれが良いとは断言できませんので、雑誌の付録にある体験版などで使いやすい物を探してみて下さい。なお、これらのタグやエディタに関する説明はいろいろな書籍や雑誌などでも書かれていますから、ここでは紙面の関係もあり省略します。
 では、ここでいくつかのホームページを紹介してみたいと思います。
 グリーンスタジアム神戸で開催される全国大会にも毎年参加している『東京ロッキーズ』(*4)は、主として脳性麻痺者や肢体不自由者をメンバーとする東京で唯一の障害者野球チームです。「心のキャッチボール」を合い言葉に、スポーツの楽しさを理解し、障害者野球の普及活動も行い、友達の輪を作って社会参加を目指しています。そして、障害の程度にかかわらず思いきりプレイを楽しみ、将来はスポンサーさんの協力の下で「東京ドームに集まろう」という夢ももっているそうです。
 『天使のこどもたち』(*5)は、中学校で美術を教えている新井文夫さんのホームページです。学校では、初めて授業を受ける生徒たちには「美術と個性」という観点から自己紹介、オリエンテーションも含めて必ず話しているそうです。新井さんご自身も先天性四肢障害をもっておられますが「同じ障害を持った人たちが読んでくれ、元気になってもらえれば嬉しく思います。」との願いを込めて、作品の紹介とともに「障害と個性」や「プラス思考」などといった考えもまとめられています。
 富山県にある自閉症者のための施設『社会福祉法人めひの野園』(*6)のホームページは、より開かれた施設づくりさらには療育の向上を目指しての作られたものだけあって、その内容は多岐にわたっています。施設概要はもちろんのこと、園生の皆さんのすばらしい作品を紹介するコーナ、そして作者のプロフィール紹介もあります。また、「オンラインショッピング」や、自閉症児(者)について開かれた意見交換の場を目指したWeb上での電子会議室「NMDA WebBBS」などもあります。

●ホームページの宣伝方法

 せっかくホームページを作っても、誰も見に来てくれなければ淋しいですよね。では、どうすれば見に来てくれるのでしょうか?何よりも宣伝が大切でしょう。といっても、どこに宣伝するかが問題です。全く関係のないところに宣伝しても効果は期待できないと思います。
 一番効果的な方法は、同じようなページの作者に連絡してお互いにリンクを張ることでしょう。見に来る人が増えるだけでなく、お互いに親しくなれる可能性もあります。そのほかには、サーチエンジンやURLディレクトリといった大規模なリンク集に登録してもらうのもよいでしょう。といっても、これらは既に登録してあるページからリンクを張っているページを自動的に探すなどしているので、登録してなくても、時には本人が知らない間に登録されている場合もあります(もちろん、自分で登録するところもあります)。あとインターネット関連の雑誌に投書(メールでもできます)するという方法もあり、運がよければ紹介される場合もあります。

●ネチケットを守りましょう

 ネチケットとは「ネットワークを利用するときのエチケット」のことであります。最近よく聞かれる「車内では携帯電話を使わないで下さい」といった社会的マナーがあるように、ネットワーク上でも守るべきマナーがあります。この中で、特にホームページに関するものをまとめてみました。
 まず、他人のホームページへリンクを張ることに関する私の考えを書きたいと思います。これは、基本的には自由に行ってよいと思いますし、そうして情報が広がっているのがWWWの特徴だと思います。但し、ホームページを公開しているといっても無条件に公開しているものばかりではなく、暫定的に公開しているもの、URLの変更が予定されているため限られたページの作者のみにリンクを認めているものなどもあります。そのような場合は、作者がリンクを張ることの禁止していたり、必ず連絡してほしいといった注意事項を明記してあるでしょうから、その意志を尊重して注意を守って下さい。
 次に、ホームページ以外の場所(特に、新聞・雑誌といった活字メディア)で他人のホームページのURLを紹介することなどについて考えてみたいと思います。これらはWWWとは異なりお互いに繋がっていないので、ここで無断で紹介された場合、自分がたまたまその購読者でなければ、確認することは非常に困難なことであると思います。また、印刷・製本等に時間を必要とすることで最新情報を公開することは不可能な場合もあります。ですから、変更直前のURLで原稿が書かれた場合、発行時には既にアクセスできない場合も考えられます。そして、そのフォローが行われない場合には、アクセスできないページとして、そのページの評判を悪くしてしまう可能性も否定できません。ですから、事前にその作者に確認することは必要だと思います。もちろん、作者が自由に紹介してかまわないことを明記してあれば問題はないでしょう。
 なお、このような話は『ネチケットホームページ』(*7)でより詳しく紹介されていますので、是非1度ご覧頂きたいと思います。

●素敵な出会いがありますように

 さあ、これで皆さんもネットサーフィンするだけの人からされる人に変わることだと思います。最後は、ちょっと堅い話になってしまいましたが、大切なことですので記憶の片隅にでも残しておいて頂きたいと思います。
 皆さんのホームページを一人でも多くの方が訪れて、それが出会いのきっかけになり、様々なネットワークが広がることを願っています。次回は「転」として「何かがかわる」というテーマを予定しています。

●フォローアップ・コーナー

 ここでは、前回紹介したホームページのURL変更などをお知らせします(総目次でも、可能な限り最新情報に修正しています)。
『For All Athletes』は、サーバ変更のため暫く休止しています。
『車椅子利用者のための駅情報』は、URLが変更になりました。
 http://www02.so-net.or.jp/‾konin/station/
 最後に、私事ではありますがこの4月より所属が変わり、『福祉と障害者支援情報の総目次』もサーバが(この号が発行されている頃には)変更になります。
 http://www.chubu-gu.ac.jp/wic/ir/h-index.html
 また、ミラーサーバも用意しています。
 http://www.kanazawa-med.ac.jp/‾yamasita/fukusi/h-index.html


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