村木厚子さんの裁判を見守り支援する部屋

平成22年6月22日 第21回公判がおこなわれました。

検察側の論告・求刑が行われました。

第21回公判 傍聴記 平成22年6月22日
by U

「第21回公判傍聴記 by U」

2010年6月22日

懲役1年6月の求刑がされたが、中味の希薄なつぎはぎの作文を、3時間以上の朗読、ほぼ満席の傍聴者は、ため息・・・検察の権威失墜は明らか。
薄い緑がはいった純白に近い清楚なスーツの村木さんは、終始メモをとりながら穏やかな表情だった。

19回の公判(証拠整理)は事務的なやり取りで、15分で終わり、前回の第20回公判は、ナミねえの報告にあるように証拠整理で裁判長が不採用とした検察調書の不採用理由を2時間以上にわたり読み上げられ、「まるで判決理由を聞いているようだった」と弘中弁護士に言わしめた内容だったので、今回の検察の「論告求刑」は、苦しい言い訳のつぎはぎになるだろうと予測はしていたが、ここまでお粗末とは・・・信岡弁護士は、始まる前に「4時ごろまでかかるとは思うよ」とおっしゃっていたが、午後1時30分開廷、冒頭のカメラ撮り後、途中10分の休憩を挟んで5時前まで、3人の検事がリレーして90ページを超える「作文」を読み上げた。

論告の内容は、産経新聞の「要旨」に簡潔にまとめられ被告と共犯者3人の共謀は明らか」と決め付け、検察のストーリー=議員案件を厚生労働省の組織ぐるみの不正である。「最終的に村木被告から上村被告に対する指示によって証明書が作成され、村木被告から倉沢被告に手渡され、被告の故意および共犯者3人との共謀が認められることに疑問の余地はない」として、「情状関係」については「①制度の趣旨を没却させる、きわめて悪質。②国家公務員を逸脱、犯行の動機に酌量のなし。③日本郵政公社に多大な損失。④決裁権者としての被告人の判断が重要な役割。⑤一般予防の見地からも厳罰を持って臨む必要がある。」と述べ、「求刑」は、「懲役1年6月、証明書の虚偽部分を没収」というものだった。
「事実関係」として述べられたのは、公判で証言した各証人の公判調書の中で曖昧な表現の部分などを取り上げ、同じ証言を繰り返し引用し、「・・・と推認される」「関与が浮き彫りになった」「証明は十分」「・・・と考えるのが自然・合理的だ」「検察側が立証すべき責任を負うが、関係者が事実を否定しても直ちに合理的疑いが生じるわけではない」などと強弁するのみで、説得力は一切なかった。「メモの廃棄」についての最高裁判決の「証拠になりうる」は、「保存を義務付けたものではない」など失笑を買うものも多くあった。

公判終了後の記者会見で、弘中弁護士は、「公判前整理している13の争点に対してのものではない論告求刑で、わずかに残った材料をつなぎ合わせた弁論」
「『議員案件』という言葉を多用し、組織ぐるみとしているが、石井氏の関与はないことが、証拠上はっきりしているのに、それを持ち出さないとストーリーが成り立たないということ。倉沢さんとの4つの接点といわれているうち3つまでが否定されているので、残りひとつの『手渡し』を強弁している」「法廷での証言より検察調書のほうが正しいとは、宣誓した証言を否定するもの」「13の争点ののうち『森電話の有無』などいくつもが消えている。」
「情状関係も意外だった。きわめて一般的なことを言っていただけで、通常ある『被告人は否認し続け、反省の色がない。厳罰が必要』という下りもなかった」

また、村木さんはどう思っているかという記者の質問に対して「村木さんは求刑を聞いても、実感がないといっていた。裁判所を信頼したいとも言っていた」と紹介された。

<改めて検察の不当性、理不尽さが際立ち、無罪判決への確信が深まる論告求刑公判だった。次回、最終弁論での弁護団の健闘を期待したい。>

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