村木厚子さんの裁判を見守り支援する部屋

平成22年2月8日 第5回公判がおこなわれました。

塩田幸雄・元障害保健福祉部長が証人として出廷しました。

第5回公判 傍聴記 平成22年2月8日
by ナミねぇ花ずきんS

「厚子さん公判傍聴記 その1。 by ナミねぇ」
~塩田元部長、すべては壮大な虚構と証言~

「すべては壮大な虚構だったと思う」。

塩田元部長の証言に法廷内のすべての人が唖然とし、法廷内が凍りついた。次の瞬間、記者たちが(速報を社に送るため)法廷を飛び出す。

 

塩田部長が、石井一議員から電話による依頼を受け、部下で企画課長であった村木厚子さんに「きちんと対処するよう」指示を出し、厚子さんが「重大な議員案件」と感じて、部下である上村係長に「何度も、強く命じ」実態の無い「凛の会に、身障低料第三種郵便物発行のための偽造証明書が作成・発行された。

そして厚子さんが「凛の会元会長:倉沢被告」に偽造証明書を手渡し、「無事に案件処理できた」と塩田元部長に報告したところ、元部長はそのことを、石井議員に電話で報告。

そのような厚労省内の流れの結果、河野・倉沢両被告が多くの企業と組んで発行したDMは、数百億円分の郵便料金を不正に浮かせるという詐欺事件を産んだ、というのが、検察側が描いた本事件の全容である。

ところが今日、塩田元部長は「(自分が取調べで供述した)石井議員から電話依頼を受け、倉沢から挨拶され、厚子さんに処理を指示した、という供述を行ったのは、厚子さんから受けた結果報告を石井議員に電話で報告した時の<4分数十秒にわたる電話交信記録がある>と、取調べの検事から言われたことを信じたからである。そして石井議員からの依頼、倉沢に会ったこと、厚子さんに指示したこと、すべて記憶に無いことだったが、交信記録によって『石井議員への報告』が明確になっているなら、記憶には無いが、そのような流れで厚労省内に指示が流れて行ったに違いない、と思い込んで取調べ検事に証言したものである。」と語った。

検事も自分も「誇りあるプロの行政官である」という、信頼関係基づいて供述したものであったが、最近になって公判担当検事から「通信記録は実はありません」と言われ、ショックを受けると共に「大変な(誤った)供述をしてしまった。」「厚子さんを無実の罪に陥れてしまった」と気づき、今日は「実は記憶に無いことを、供述させられてしまった」ということを証言するために法廷に来た、と述べた。

「すべては壮大な虚構だったと思う」

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法廷にいる者たち全員が、厚子さんの無実を確信するとともに、検察の無謀で悪質な取調べに、怒りを覚えた瞬間であった。

<文責:ナミねぇ>

「厚子さん公判傍聴記 その2。 by ナミねぇ」
~誰が厚子さんを陥れたのか!?~

第5回公判を傍聴し、一日が過ぎたが、塩田元部長の証言を思い出すたびに、驚きあきれると同時に、怒りがふつふつと込み上げる。

厚子さんの不当逮捕・長期勾留というだけでも許せない思いでいっぱいだが、「虚偽の証拠によって、証言を誘導する」などという異常な取調べを検察が行うなど、許せないばかりか、背筋が寒くなるような恐怖を感じる出来事だ。

昨日の公判での証人出廷まで、塩田元部長については「厚子さんを罪に陥れ、自分は安全圏に隠れている」と、多くの人が思っていた。卑怯だ、許せない、出て来い、塩田元部長! という声が多数あった。そんな声に対して、厚子さんがいつも静かに「人は弱いものだから・・・」と話されることに、歯がゆい思いを抱いた者もいたくらいだ。

でも、吹っ切れた態度で法廷に現れた塩田氏は「密室の取調室で検事から、私が石井議員に証明書が発行されたことを報告する4分数十秒の電話交信記録がある」と言われ、「それならばきっと、記憶には無いが、最初の依頼も自分が石井議員から受け、村木さんに対応をお願いしたのだろう・・・と思い込んでしまった。」

「何度も何度も、交信記録があるのは本当か?本当なら見せて欲しいと頼んだが『有る』というだけで検事は最後まで見せてくれなかった。私は、お互いにプロの行政官であるという信頼感があるので『それが嘘だ』と思って聞いたのではない。自分が石井議員に報告した交信記録の内容を、正確に知る必要を感じたからだ。」

しかし「嘘」だった。

「交信記録は無い」のだと、裁判が始まってから、他の検事から聞かされた時のショックは、とても言葉では表せないくらいだ! 今ではこの事件は「壮大な虚構だと思っている」と、怒りを込めて証言し、そして何度も塩田氏は「村木さんに、本当に申し訳ないことをした。」と、証人席で繰り返した。

そんな塩田氏に裁判長が「では、あなたにとって事実といえることは何ですか?」と問うと「事情聴取を受けたことと、今ここに座っていること。それだけです。」と言って、唇を噛み締めた。

つまり事件の「出口」に自分が確実に関わっているなら、石井議員から電話を受けたという「入り口」にも、議員対応が仕事であった自分が関わったに違いない・・・いや、きっとそうだ・・・と、塩田氏に思い込ませる姑息な手口を使っ たH検事。

取調べに関する検察側のメモがすべて廃棄されて存在しない、という事実も含め「まさに日本の特捜検察の力量と倫理観は、地に堕ちた。」と言わざるを得ない。

虚偽の証拠によって誘導した供述調書と、虚構のストーリーを目の当たりにしながら公判に臨まねばならないS検事、E検事はじめ、公判担当検事の皆さんに、同情を覚えるほどである。

とはいうものの、裁判はどうやら、予定通り粛々と23回にわたり開催されるようである。もしかしたら検察側の必殺技が繰り出されるのかもしれない。厚子さんの完全な名誉回復までの道のりは、裁判の全てが終わり、無実が確定されてはじめて、その一歩が始まるのだから、気を緩めることなく見守り、支援し続けて行こうと思う。

<文責:ナミねぇ>

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「裁判を傍聴して思うこと(その2)」
by 花ずきんS

2月8日(月)10:00~16:00
塩田元部長(村木さんの元上司)尋問

検察物語の根幹崩壊

民主党石井一国会議員から電話を受け、村木さんに対応を指示したとされる上司であった塩田証人の尋問。

 私が注目して聞きたかったことは以下の3点だった。

  1. 石井議員から電話要請はあったのか
  2. 村木さんに対応を指示したのか、無かったのか。
  3. 証明書ができたことを石井議員に電話報告したのか

 すべては取り調べ検事が言ったある前提とひとつの思い込みに元づくもので本当の自分の記憶ではないと、塩田証人は三点すべてを否定した。

検察は「供述調書に指印を押したのは、あなたですね。間違いないですね」と繰り返し尋問していく。

そのたびに、塩田証人は以下のような趣旨の証言を重ねた。

検事からの尋問にこのように答え、開廷から一時間あまりたったころ、塩田証人は「この事件は、壮大な虚構だと思った」と。

 この瞬間、検察の嘘の説明、その前提の上に供述させた検察物語は崩壊した。調書というのは本人の口から語られたことがつづられるのではなく、検事の提示する情報と状況設定を前提に、その中で作られた細部を含めて検事が語り、「はい」、「そうだと思います」などを本人に言わせ、まるで本人の語りのように繋いでいき、指印を押させるものなのだと知らされた。

 6時から、支援してくれている人たちに報告する場を持ちました。村木さんの無罪はますます多くの人たちに確信されることとなった。

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